漆芸の沼

鳴鳳堂和食文化博物館2019/09/01

今回はなかなかのレア情報ですよ!

珍しいお仕事をしました。

新設された博物館の蒔絵作品解説です。

博多区の板付に “ 九州和食広場 ”
という、フードコートがあります。

クルーズ船で来訪するインバウンドの方(主に中国の方)が
お食事をされる施設なのだそうです。

クルーズ船が入港していない時は
閉まっているそうですが、
今回は、特別に案内していただきました。

九州和食広場正面

全体に大相撲九州場所っぽく和のインテリア。
お土産屋売り場などもあり、楽しい♪

フードコートにはお寿司などの日本メニューが並びますが、
ラーメン一杯¥2,000以上と高めの設定。

中国の方は食にたいへんこだわりがあるので、
普通のお値段ではダメなのだそうです。
ニセコ状態ですね。

地元の方がフラっと入って来られても、
お値段見て帰っちゃうそうです。

その一角に博物館があります。

入館すると、 パネルと展示品で
和食の歴史や特徴が紹介されています。

 

 

興味深い展示で、
思わず見入ってしまいました!

ん~、もっとゆっくり見たいです( ;∀;)

こちらの展示の見せ場が
蒔絵作品なのです

熊本の阿蘇で個人の方が蒐集・保管されていた
“ 鳴鳳堂コレクション ”を
中国の方が受け継がれたのだそうです。

その数なんと300点!!

蒔絵作品の大半は、江戸~大正時代につくられた
「花見弁当箱」「野弁当箱」などと呼ばれる品。

料理を入れる重箱、酒入れ、盃、取り皿などが
ぴったり収まる外箱に収められた
アウトドア食器セットです。

今回はそのうち30点ほどに解説を付けました。

解説と言っても、文字数がかなり限られていますので、
技法や意匠のワンポイントになります。

高台寺蒔絵風の平蒔絵が多い印象ですが、
見ごたえある 明治期の京蒔絵や
螺鈿もありました。

意匠は縁起の良いモチーフをちりばめた
「めでた尽くし」が多かったのですが、
中には、???なものもあり。

この、田植えピープルの上にぶら下がっているモノは?

「神事で見たことあるかも~」
「箱かいな???」
意匠図鑑や絵巻物の図版をひっくり返して
喧々諤々の挙句

順が「鳴子」と解読🔔
竹筒がガラガラ鳴って、鳥害を防ぐ道具でした

だとしたら秋のアイテムっぽいのですが
まぁ気にしないでおこう

江戸時代にもなると、
引用の引用で元の意味が不明瞭になることはよくあるんです

Narukoinadasuzumezu.JPG
狩野常信, パブリック・ドメイン, リンクによる

 

こちらは、まさよが十二律と解読
無駄に歴史オタなのが役立っています

現在、こちらの博物館には16点ほどの
蒔絵作品が設置されています

残念ながら現状は
インバウンド客のみの受け入れということですが、
5~6年後をめどに一般公開して、
日本の方にも楽しんでいただける場になるとのことです

蒔絵コレクションはここだけでなく、
ヒルトン福岡にも数点設置されているらしいので、
そのうち見に行ってみようかな。

6月に福岡で開催されたG20の折は、
要人の方にご覧いただいたそうです(;’∀’)

(そのために納期がアレで死にかけたことは
ここだけの秘密です)

それにしても、
板付の一角にこのような施設があるとは驚きでした。

九州で蒔絵作品を見ることができる場所は少ないので、
このままでは本当にもったいないですね。

一般公開を待ちたいと思います。

 

※このブログは2019年9月1日に書かれました。