漆芸の沼
金粉が無い
金継で使用する
金丸粉が入手困難になっています
金粉の国内産地は、東京・金沢
研究所では東京の粉屋さんから
購入しておりますが
昨夏から納品が遅れてきました
以前もこのようなことはあったので
余分に在庫していたつもりですが
あまりに長引き、危険水準です
原因は緊急事態宣言の
時短勤務で制作時間が減ったところに
巣ごもりの金継ブームが
重なったことだそうです
蒔絵粉は職人さんの手仕事なので
急な増産はできません
最近では、
金継でよく使われる、
丸粉1・2・3号だけではなく
大きなサイズの丸粉まで品薄です
漆芸材料大手の箕輪漆行でも、
純金丸粉は1~8号まで
SOLD OUT!(2021.3.4現在)
丸粉のかわりに選ばれそうな平極粉も
取引先の蒔絵粉屋さんでは
いよいよ納期未定という状況です
仕事で使用するので困ってしまい
ネットで検索すると
金沢の箔一では販売していました
漆屋さんに比べかなり高価です
金粉は、コロナ後に金価格が急騰し
ただでさえ値上がりしていました
金相場のほうは
だいぶ下がってきましたね
巷では米国の金利上昇が
懸念されていますが
ここ数ヶ月
金価格と金利が逆相関していますので
しばらくは目が離せません
(上:金 下:金利)
こうなると迂闊に買い溜めすると
後悔するかも・・・
などと思い悩んでおります
さて、
一連の騒ぎの中、
教室での金丸粉使用を
やむをえず停止しました
そのような折、
「金のかわりになる粉があると
聞いた」
という質問がありました
ネットで検索すれば、
金継セットがたくさんヒットしますが
安価なセットに入っているのは
金(Au)ではなく、
金色に見える代用金です
代用金の原料は
黄銅(真鍮)
雲母(マイカ)
アルミ
などですが、
変色しやすいです
箕輪漆行では
※安全性に保障ができませんので
食器には使用しないでください
と、注意書きがあります
“安全性”で問題になる理由のひとつは
金属アレルギーです
アレルギーになりやすい身近な金属は
*ニッケル
*コバルト
が有名です
逆に、なりにくいものは
*チタン
*金
中間には、
*錫
*パラジウム
*クロム
*銅
*プラチナ
*亜鉛
などがあります
錫や真鍮は金継でも使用されますが、
金属アレルギーをお持ちの方は、
控えたほうが良いかもしれません
(黄銅・真鍮は銅と亜鉛の合金)
そもそも代用金は、
人形や釣具のような
食品衛生法に関係のない分野で
使用されていたものです
花器や置物の修理には使えると
思いますが、
食器に蒔く場合は、
口に入ると有害な物質が使われて
いないか気を付けてください
原料が不明な場合は、
メーカーや販売元に確認されると
安心です
ところで、
フェイクに走るくらいなら
いっそのこと漆で遊んでみませんか?