漆芸の沼

本吉野紙で乾漆はいかが?




本吉野とは?


漉し紙は、
ねじったり引っ張ったりしますので
ティッシュのようなパルプ紙は
使えません。


そこで、
ハードな用途に向く吉野紙という
丈夫な紙を使います。

「新吉野」「美吉野」などの商品名で
売られている、一般的な漉し紙は
化学繊維製です。


漆工材料の専門店を覗くと
「本吉野」という漉し紙も
並んでいますね。

箕輪漆行「吉野紙」検索結果



本吉野は楮(こうぞ)でを原料にした
和紙です
 ●手すき本吉野
 ●機械すき本吉野
 ●機械すき本吉野-渋引き
などのラインナップがあります


詳しくは ↓こちら↓ の動画をご覧ください


金継ぎの時は
1枚を8等分した12㎝角ていどの
紙で漉しますので
強度はほとんど気にならないでしょう


手すき、機械すきにかかわらず
本吉野は若干破れやすいので、
漆塗りの方で気になる場合は
いちばん外側に渋引き吉野を重ねると
安心です



本吉野の魅力


使ってみるとわかりますが
繊維のおかげで滑らず、漉しやすいです

何より、
「再利用できる」
という点が優れています


漆を漉した後、丁寧に広げます


型になるものを用意して、
使用済の漉し紙を貼ります


こちらの画像は
漉し紙を1枚貼ったところです

こうして
<貼る → 硬化させる>
を繰り返して
7~8枚貼り重ねると
張り子のような皿ができるんです

このような技法を「乾漆(かんしつ)」
と言います


§奈良時代に作られた乾漆
伎楽面(出展:ColBase)

粘土原型を用い、
刻苧や錆で細部を作れば
こんなに複雑な作品も製作可能です

乾漆は飛鳥~奈良時代に
多く制作され、
興福寺の阿修羅像が有名です

軽くて持ち運べるため
火災の多い奈良の都でも
生き残ることができました
 ●乾漆八部衆立像
 ●乾漆十六大弟子立像


さて、
乾漆制作では「あるもの」を使って
紙を型に貼り付けます

そして、
きれいに貼る「コツ」があります


知りたい方は、ぜひ
博多漆芸研究所