漆芸の沼

改正食品衛生法
漆器や金継ぎに使える材料が変わります
ポジティブリスト制へ
従来の
「ネガティブリスト/これは使えません」
から
「ポジティブリスト/これしか使えません」
になります

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食品衛生法
食品の安全に必要な規制や措置を定め、
飲食による健康被害を防止するための法律で
厚生労働省の所管です。
改正食品衛生法
2025年6月1日から
食器に使用できる材料が厳格化され
「ポジティブリストに掲載された物質」
のみが使用できるようになります。
→厚生労働省のウェブサイト
→消費者庁のウェブサイト
今まで
器制作や修理・金継ぎには、
化学合成物質が使用されることがあります。
素地、塗料、接着剤、パテの中には、
人体への有害性やその疑いが指摘された
物質があり、一部で問題視されていました。
これから
6月1日以降、使用できなくなる物質で
漆芸や金継ぎに関係のありそうなものを
以下に挙げます。
✖市販のエポキシ系樹脂
・エポキシ系接着剤
・エポキシ系パテ
✖カシュー系塗料
:簡易金継ぎで使用されている塗料です
例)カシュー
ふぐ印新うるし
うらしま印高級うるし
▲ウレタン塗料
「食品衛生法適合」の表示が無い場合は
メーカーに確認しましょう
漆はどうなの?
もちろん、自然素材の天然うるしは
何の問題も無く使用可です🙆🙆♂️
ただし、テレピン油は
ポジティブリストに記載されていません。
また、市販のテレピン油には、
松根油と、石油製品があります。
一般的な漆芸や本漆金継ぎのように
テレピン油を使用するケースについては、
確認が必要でしょう。
博多漆芸研究所では
工房ぬり松時代も含む2000年(25年前)から
テレピンを一切使用せずに漆器を制作しており、
過去の作品も含めて合法です。
金継ぎへの影響
一般的に開催されている金継ぎ短期講座では、
ほとんどの場合「カシュー系塗料」を使います。
6月1日から、
カシューを使う金継ぎは
花器や人形などの一部用途をのぞけば
非合法となります。
しかし、
法改正の情報があまねく行き渡るまで
時間がかかることが予想されます。
また、
博多漆芸研究所では
1日体験ワークショップも含め
オール自然派金継ぎⓇで運営してきましたが、
相応の工夫を重ねた結果として
天然漆のみでの制作を実現しています。
カシューが非合法になったからと言って
急に方向転換できるとは限りません。
したがって、カシューを使った講座を
実施する業者はすぐには無くならないと
考えられます。
みなさんが金継ぎ講座を受講される際は、
食品衛生法適合かどうか、主催者に
確認されることをおすすめします。