漆芸の沼

宮崎漆器工房のこと

太平洋戦争で宮崎県に疎開した人の中に
琉球漆器の職人さんがいました
彼らの指導のもと身体障害者の人たちの授産施設として
設立されたのが宮崎漆器工房です


いつか訪ねてみたいと思い、
今回ようやく実現したのですが
「現在閉所に向けた話し合い途上で
今年8月までは続けることが決まっているが
その後はわからない」ということです
なんと、冒頭から衝撃のあまり
呆然と立ち尽くすことになろうとは!
閉所理由は
職人さんの高齢化
授産施設ゆえ利益追求できず運営が厳しい
待遇改善できず後継者育成を断念
ご時世で県からの記念品大量注文が消滅
など、簡単に乗り越えられないものでした



年季の入ったショールームを見渡すと
大小たくさんの作品が並んでいます
琉球漆器らしい南国の花々や
伝統的な龍の意匠


加えて、宮崎ならではの
歴史にちなんだ埴輪、
県の花はまゆう、特産の有楽椿



晴れやかな姿が次から次へと視線を誘います
琉球漆器特有の堆錦(ついきん)と呼ばれる
レリーフ状に盛り上げる技法が主ですが、
塗り立てや変り塗りの作品もあります



無知と偏見をさらけ出す覚悟で正直に申し上げますと
いわゆる産地の水準とは異なる作品を想像しておりました
2月には沖縄の浦添市美術館で
本場の琉球漆器をガッツリ見てきたばかり
目が肥えているところです
しかし、目に飛び込む作品の圧倒的な魅力に
ぐいぐい引き込まれテンションが上がってゆきます
宮崎漆器を見た心の声は
「へー」
「ふーん」
ではなく
「うぉわー!」
「おぉぉぉぉー!」
「ひゃーー!!」
という驚き、感動でした

さて、この作品たちはこの後どうなるのでしょうか?
数年前からネット通販を始めたものの
職員さんが多忙なお仕事の傍らでの運営で
苦戦されているそうです
今回、博多漆芸研究所では資料として、
龍の意匠の文箱を一点購入させていただきました
対価は¥45000ほど
材料代にすらならないのでは?と、
申し訳ない気持ちになります


教室の展示棚に飾っておりますので
受講の際は是非ご覧ください
見事な作品です
同じ作品の在庫はまだあるそうです
BASEショップに出ていない作品も、
画像を見せて相談されてはいかがでしょうか
「急激に販売が増えるなどの光が見えれば延長もありえる」
という、所長さんのお言葉です
以上、
長文にお付き合いくださりありがとうございました🙏
晴れやかな朱色に
華やかなデザインの堆錦作品
沖縄本島は不幸にも戦火に焼かれ
戦前の技術で制作された琉球漆器は稀少です
資料として
愛蔵品として
お手元に一点いかがですか?
宮崎漆器工房Instagram
@urushi_miyazaki
BASE宮崎漆器工房
https://miyazakikobo.base.shop/
宮崎漆器工房Webサイト
https://urushimi-miyazaki.amebaownd.com/

ショールームへ行かれる際は、
事前にお電話かメールで確認されたほうが
よいでしょう