漆芸の沼
ラテックス、ニトリル、パウダー、そして綿の手袋
当研究所では、漆に直接接触するのを
防ぐため、必要な方向けにゴム系手袋を
ご用意していますが、
新たにゴム手袋をご準備しないことに
いたしました。
今後は、
①綿手袋をお渡しする。
綿手袋で作業を行う。
②心配な方は、しばらくは当研究所に在庫があるので、使用可能なゴム系手袋を
選んでいただき、お渡しした綿手袋の上から
ゴム系手袋をつけていただく。
③在庫がなくなり次第、置くことをやめます。必要な方は各個人でのご準備をお願いします。
なにとぞご理解のほどよろしく
お願いします。
理由については以下の通りです。
ご興味ある方は引き続きお読みください。
ゴム系手袋見直しの理由
現在、
当研究所で用意しているゴム系手袋は、
ラテックス(天然ゴム)パウダーイン
/サイズL、M、S
ラテックス(天然ゴム)パウダーフリー
/サイズS、SS
ニトリル(合成ゴム)パウダーフリー
/サイズS
今回、一ヶ月に渡りご使用手袋の聞き取り調査したところ、ニトリルのパウダーフリーがダントツに多く、アレルギーに関心があってのことと思われます。
ニトリルのパウダーフリーのみのご提供に絞ろうと思い、あらためてニトリル
(合成ゴム)について調べたところ、
なんと!ニトリル(合成ゴム)でも、
アレルギーになることが!
そこで、ゴム系手袋とパウダーに関して、
アレルギーについてまとめてみました。
ラテックスアレルギー
天然ゴムに含まれるタンパク質との直接接触による即時型アレルギー※1
パウダーアレルギー
原料であるコーンスターチ自体は天然添加物でアレルゲンではないが、パウダーは
ラテックス抗原を容易に吸着するため、
パウダーの手指皮膚への接触、
または手袋を外したときに空気中に浮遊するエアロゾル化したラテックス抗原の吸入によるものがアレルゲンとなります。
また、パウダーは手指皮膚の擦過・乾燥を引き起こし、刺激性接触皮膚炎の原因ともなります※2
ニトリルアレルギー
ゴム製造に必要な硫黄との化学反応を促進する加硫促進剤が起こす接触遅延型のアレルギー※3 ※4
(ちなみにニトリルゴムは、石油→プロピレン→アクリロニトリル→ニトリルゴムという工程を経て製造される。)
漆アレルギーにならないために手袋を用意しているのに‥※7
漆かぶれは、触れたままだとほぼ全員がなりますが対処法ははっきりしています。
このゴム手袋に関するアレルギーは、個人差がありすぎる‥。
加硫促進剤不使用のニトリル手袋※5も用意することも一瞬考えましたが、どこまで個人の
アレルギーに対応するか、
なにより自然派の方向性(使い捨てや脱石油)に反しているのでは‥。
いろいろ考えた末、
最初にお伝えした通り、
①綿手袋をお渡しする。綿手袋で作業を行う。
②心配な方は、しばらくは当研究所に在庫があるので、
使用可能なゴム系手袋を選んでいただき、
お渡しした綿手袋の上から
ゴム系手袋をつけていただく
③在庫がなくなり次第、置くことをやめます。
必要な方は個人様で準備していただく
こととなります。
綿手袋でも、漆芸や金継ぎは可能です。
その代わり、終わった後は油で手を洗う→石鹸で手を洗うことをお勧めします。
なにとぞ、ご理解のほどよろしくお願いします。
参考サイト
より深く知りたい人は以下のサイトをおすすめ
※1 ラテックスアレルギーとは
※2 ゴム手袋のパウダーについて
https://med.saraya.com/gakujutsu/rashinban/004.html
※3 ニトリルゴム手袋によるアレルギー性接触皮膚炎
https://www.jstage.jst.go.jp/article/arerugi/69/8/69_669/_pdf
※4 現在、当研究所で使用しているニトリル手袋の安全データシート
(警告事項にアレルギー反応のことが記載されている)
※5 加硫促進剤不使用のニトリル手袋の開発
http://seisan.server-shared.com/684/684-45.pdf
※6 ゴムと酸化チタン(当研究所で用意している、ニトリル手袋に含まれる加硫促進剤)について
https://www.jstage.jst.go.jp/article/gomu1944/42/12/42_12_1044/_pdf/-char/ja