漆芸の沼
ブラックジャック
昨年の画像を整理していると、
「あのときは納期ギリギリで大変だったな~」
「あれは引き受けるんじゃなかったな~」
「でも、すごく喜んでいただけてよかったな~」
と、万感こみあげてきます(涙)
あまり真剣に数えたことはありませんが、
年間100点以上金継のお仕事をいただいております。
その中でも、
記念品やお祝いにいただいた大切なお品が壊れてしまい、
なんとかしたい!
という強い思いを背負った品に出会ったとき、
金継界のブラックジャックの目が秘かに輝きます✨
今回ご紹介するのは、
新婚旅行で購入したヴェネティアングラスを
なんとかしたい!
というご相談。
お客様によれば、
「あらゆるところへ持って行ったけれど断られました。」
とのこと。
それもそのはず
割れたステムの肝心な部分のパーツが無い
最初は
「う~ん」
と言ってお茶を濁そうと試みたのですが、
お客様の目から
何が何でも何とかしてほしいオーラが発せられています!
そしてブラックジャックは頷きます。
わかりました。できる限りのことをやってみましょう。
どうしたかと言うと・・・
パーツどうしに穴をあけて竹の棒でつなぎ、
欠損部を刻苧で補填する
という。
ここまで来ると外科手術です。
この期に及んでも
自然派金継の信念は貫くブラックジャック。
エポキシパテは絶対に使いません!
こうして、復元した部分には、
グラスの美しいデザインを生かした蒔絵をほどこしました。
(蒔絵はまさよ担当)
お客様に喜んでいただけたのは言うまでもありません。
ただ、ブラックジャックは
「同じことをもう一度やれと言われたら断る」
と言っています(笑)