漆芸の沼

自然派カビ対策講座

梅雨の金継ぎにご用心


風呂で硬化させている間に
器にカビが生えてしまうことがあります


磁器はそうでもありませんが
陶器は調味料が染みやすいので
しっかり洗ったのに・・・
ということがあります


博多漆芸研究所、KINTSUGI JAPANを
受講されている皆様には
「煮沸のしかた」という資料を
お配りしています


まずは、そちらを参考に、
金継ぎ前の煮沸をおすすめします
ピカピカになります



しかし、
お茶道具や古陶磁では、
「古色」や「雨漏り」のような
使い込んだ痕跡を景色として
賞玩する文化があり、
ピカピカになっては困ります


以下、
「煮沸できないけれど、
    カビ対策をしたい」
という場合の参考にされてください

うちは自然派なので、
必殺技の「カビ取りハイター」を
封印し、別の方法をご紹介します

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自然派カビ対策講座!


その1 カビの本体を消毒する

【A 70~80%のエタノール(アルコール)】
 ①消毒したい部分にティッシュをかぶせ
  エタノールをかける
 ②ティッシュをピッタリ沿わせ
  しばらく放置する
 ③水洗いして干す


※エタノールが揮発するので、
 お部屋を換気しましょう
※手指消毒用のアルコールでOK
※無水エタノールに7:3で水道水を
 混ぜたものでもOK

ピタッとさせる


【B 熱湯消毒】
 ①60℃以上の熱湯をボウルなどに入れ
  消毒したい部分を浸して90秒以上待つ
 ②2回繰り返す
 ③水洗いして干す
※やけどに気をつけましょう


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その2 カビの養分を除去する

「その1」と組み合わせると
効果的です

【重曹】
①消毒したい部分にティッシュをかぶせ
 水5:重曹1程度に溶いた重曹をかける
②2~3分放置
③水洗いして干す
※②の後、
 お酢、または水で溶いたクエン酸
 をかけると、炭酸がシュワシュワ
 して、染み込みやすくなる?
 気がします



水垢を取りたいときは?

【クエン酸】
①おそうじしたい部分にティッシュをかぶせ
 水で溶いたクエン酸をかける
③水洗いして干す

※塩素系漂白剤(カビキラーなど)とクエン酸を
 併用しないこと(有毒ガスが出ます)



カビの注意ポイント

★陶器
 ・萩焼のように、ふっくらした質
 ・粉引き
★無釉部
 ・高台裏など、
  釉薬がかかっていない箇所
 ※焼き締めは無釉でも大丈夫
★ニュウ
 ・ニュウがあるけどやらないとき
★貫入

他に、
高気密な建物
高気密な風呂(プラスチックや金属)
で制作される方は、
デンプンのり(陶器の下処理で使うのり)も
カビの原因になります
 ・漆が硬化したら、すぐ風呂から出す
 ・錆研ぎが終わったら、のりを洗う
など、この時期は気を付けてください


というわけで、いろいろと
チャレンジしてみてください!


さて、
雨で外に出たくない季節は
金継ぎチャーンス!

皆様の手によってあまたの名作が
生まれることを願っております