漆芸の沼

漆・金継ぎ関連 展示会情報
芸術の秋は
面白そうな展示会がたくさんあります
実際に見てきたもの
これから行こうと思うものなど
ご紹介します
繕いの茶道具
京都府 / 裏千家茶道総合資料館

古田織部のエピソードで有名な
井戸茶碗「十文字」を筆頭に、
金継ぎを学ぶ者にとって
一度は目にしておきたい銘品が並びます
京都とは言え
インバウンドさんの行動範囲から外れて
静かにじっくり鑑賞できる環境です
今日庵の周辺は、石畳の美しい通りや
和菓子店など、京都らしい見どころも満載
少し北へ歩いて
漆祖・惟喬親王を祀った玄武神社に
お参りするのも乙です
(周辺は、惟喬親王の母方にあたる
「紀氏」の拠点です)
紅葉シーズンのど真ん中は
ホテルが値上がりしますので
少しずらすとよいかもしれませんね
Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ期で展示内容が変わります

NEGORO 根来-赤と黒のうるし
大阪府 / 大阪市立美術館

中世に栄えた和歌山県の根来寺では
寺で使用する什器を僧が塗りましたが
使用するうちに、すれて中塗が露出し
その様がなんともさびた景色を呈することから
「根来塗/ねごろぬり」と呼ばれ、
茶人に愛されてきました
秀吉の紀州攻めで廃寺になり
離散した髹漆(漆塗り)技術が
輪島塗などの産地のルーツになったという
説もあり、漆芸史上重要な存在です
上塗りの色により、
赤根来と黒根来に分けられますが、
中央構造線上に多く見られる
水銀朱産地ならではのぜいたくで
深紅に塗られた塗り物は
本能に訴えかけます
万博が終わって落ち着きを取り戻した大阪も
良いかもしれません

売茶翁と若冲
佐賀県 / 佐賀県立美術館

茶人解説本には必ず出てくる売茶翁さん
上流階級の煎茶を
庶民に広めた人物として有名で
「ちょっと変わり者で我が道を行く人」
として描かれることが多い印象です
佐賀藩の支藩・蓮池藩出身だったとは
初めて知りました。
京都で、どのようにして若冲と
出会うのでしょうね
若冲といえば、
若い時に、京都の相国寺で
若冲の動植綵絵を見たとき
命削る筆致に心を掴まれ
涙が止まらなくなったことがあります
しかし会場はものすごい人で
絵までの距離があまりにも遠く
もどかしく物狂おしかった思い出
今回は少し静かに見れるかもしれない
という下心を抱いております
本展は、金継ぎや漆とは直接関係しませんが
煎茶道具も出品されるようですので、
お勉強がてら出かけてみようと思います