漆芸の沼

九州のうるし1 江藤竹工所(結乃竹)

江戸時代に書かれた『 筑前国続風土記』(貝原益軒著)には
“ ウルシノキは上座郡にある。塗師は福岡・博多に多い”
と書かれています。

 

筑前国続風土記

上座郡」は朝倉市の一部や東峰村を含むエリア。

斉明天皇の行宮および 殯斂地(ひんれんち=仮葬の地)
の「木の丸殿跡」もあり、歴史を感じる地域です。

この上座郡に
辻さんご夫妻が営む江藤竹工所があります。

 

江藤竹工所

もともとは、すだれの制作がメインだったそうです。

ショールームには、きっちり作られた美しい商品が並びます。

 

結乃竹すだれ

辻さんは
竹ひごもご自身で作られています。

原料の竹は、
山主さんから許可を取って伐り出すのですが、

 

伐るべきものは伐り
残すべきものは残す

辻さんの手にかかると、
荒れていた竹藪に
風が通り
光が届き
美しい竹林に変身するのです!

 

 

最初は渋々許可を出した
山主さんが感激して
「ぜひまた来てください!」
とお願いされるほどに。

 

辻義弘さんの手はごつごつしていて、
一目で仕事人の手だとわかります。

蜂、イノシシ、マムシと
上手におつきあいしながらの山仕事。

危険な目に遭われた時の
お話しをされているときですら、
辻さんの目はキラキラ輝いていました。

 

こちらは神社仏閣の最高級すだれに使われる
国産真竹。

節の位置がずれないよう、
細心の注意を払ってヒゴに加工されます

いちばん細いヒゴは
素麺くらいの太さでした。

子供のころから工作に用いたヒゴは
身近な素材だと思っていましたが、
初めて「美しい!」と思いました。

 

海外産に押されて深刻な危機を迎えた時期も
あったそうですが、
国産の本物を守り抜いた結果、今がある
とのこと。

 

現在、九州だけでなく、関西・関東の
竹製品メーカーに原料竹を卸して
らっしゃいます。

 

 

その江藤竹工所・辻さん夫妻が
未来に向けてチャレンジを始めています!

漆塗りのお箸の製作です。

 

 

竹を伐って
お箸に加工して
漆を塗る

というすべての工程をご自身の手でやる
という試みです。

 

 

 

しかし、こうして言うのは簡単ですが、
お仕事の合間を縫って
一から塗りの勉強をされるのは
並大抵の覚悟ではできないことです。

すり漆や塗り立てなどの一般技法に始まり、
現在、変り塗りも練習中です。

 

美に対する好奇心あふれる辻さんご夫婦
どのような作品ができるか
今後が楽しみです!

本物にこだわり、自然とともに生きてこられた辻さん夫妻は、
消毒薬や塗料についてたいへん厳しい姿勢を
貫いておられます。

化学物質は一切使わない箸。
安心して愛用できますね!

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結乃竹HP

道の駅原鶴には
菜箸を出品されているそうです。