漆芸用の木地のおはなし

 

金継が人気ですが、
漆芸を始める方も増えております。
特に、変り塗りが人気です♪

 

 

漆芸に使う木材は、
しっかり乾燥していて、油気が無ければだいたいOKです。

乾燥が甘いと漆に含まれる水分で木が動いてしまいます。
油や塩分が付着していると、漆が乾きません。

 

従来、漆器によく用いられてきた樹種は、
トチノキ、ケヤキ、クリ、カツラ、ホオノキ、ヒバなどでしょうか。
産地によっても異なります。

最近は、国産材が希少になったため、
ミズメザクラ(梓)も利用されるようになりました。

タモやケヤキのように導管の太い樹種は、
「目止め」という工程が入ります。

キリやヒノキも使用できますが、
あまり柔らかい木は、和紙や布を着せて補強する必要があります。

 

木目の見えるすり漆の場合は、
クロガキやコクタンなどの銘木が選ばれます。

その他、仕上げ(すり漆・錆下地・本堅地など)によっても
木地の形状が変わります。

 

 

さて、
長期リセッション、ライフスタイルの変化などから
平成2年をピークに漆器の需要が落ち込んでいます。
百貨店へ漆器を卸すような大口業者は競争力強化のために
生産拠点を海外へ移してゆきました。

漆器のもととなる木地業界にも影響が出ます。
粗どり木地を木地製品に加工する「木地師」と呼ばれる
人たちは大半が小規模事業者で、
仕事量が確保できなくなったり、後継者の育成を
断念するなどで廃業が相次ぎました。

 

ところが、2014年の某ファスト・フードショップで起きた
「ナゲット・ショック」と呼ばれた事件をきっかけに、
潮目が変わります。

百貨店の店頭で漆器を購入する際に、塗りだけでなく木地や材木の産地を
尋ねるなど、ユーザーのマインドに顕著な変化が起きたのです。

 

従前も、産地偽装問題やオーガニックブームなどのたびに
産地に気を配る人は増えてきましたが、
今回の事件は景気が冷え切っていたところで
消費マインドの変化が大きかったため、生産現場へ圧力がかかり、
中国やベトナムなどの海外へ託されていた業務が急激に国内になだれ込みます。

 

生産者が減っていたところの需要増で
木地師業界はパンク寸前になります。

我々が関わっていた木地師さんは、電話に出なくなったり、
注文した木地の制作がたびたび遅延したのち、
「小ロットでは応えられない」というお断りをいただきました。

 

その頃から木地師さんの噂が業界のあちらこちらで
聞かれるようになりました。
「休む暇が無いらしい」
「2年先まで仕事が入っているらしい」
「10個から挽いてくれた人が、100個からじゃないとダメになった」
「大口さんを優先するから、小ロット注文だといつまでも待たされる」
「一度に300個ぐらいは頼まないと相手にされない」

 

以来、木地価格は上昇の一途を辿っています。

この件について考えるにつけ、
思い浮かぶのは「宅急便業界」との酷似です。

元々対価が安すぎる状態で無理を強いてきたのでは?

現在、国産材、国内生産の木地は
お椀1客で1500円前後です。(参考:箕輪漆工さんの木地

ここで想像してみてください。

§1
原木を植えて育てるコストと時間
原木を伐るコスト
原木を山から運搬するコスト
原木を保管するコスト
原木を販売するコスト
購入者へ原木を輸送するコスト

§2
材木を保管するコスト
材木を製材するコスト
材木を販売するコスト
購入者へ材木を輸送するコスト

§3
粗どり木地(半製品)に加工するコスト
粗どり木地を乾燥させるコストと時間
粗どり木地を木地製品に加工するコスト
木地製品を保管するコスト
木地製品を販売するコスト
購入者へ木地製品を輸送するコスト

§4
さらに、木地製品が小売り店で販売されれば
小売り販売にかかわるコストが必要です。

 

今回の木地師さんの件は§3になりますが、
§1~4の、どのステージも暗黙知の塊です。

形式知と違い、一度失われると戻ってきません。

 

高いでしょうか?

 

国産材を使用した、国産の木地を揃えております。
長い期間集めてきたものなので、
もう手に入らない品もあります。

 

↓こちらは一部です↓
数はおたずねください。