漆器リペアのご相談も受け付けています

昨年「黄金虫さん」とおっしゃる方からお預かりした漆器。

 

あまりにも見事な蒔絵なので、優品を見慣れている
教室の研究員さん達からも「見せてください」と乞われるほど。

 

 

蒔絵部分はしっかりしていますが、
塗りはかなりダメージが来ています。

京都の骨董屋さんから入手したものだそうです。
縁が剥がれているので、このまま使用すると
傷が広がってしまいます。

蒔絵にダメージが及んでいなかったのが幸いです。



 

 

「劣化が進まないよう応急処置を」
というリクエストですので、
浮いた塗膜を接着して、全体にすり漆をしたら
きれいになりました。

洗ったらすぐ拭くなど、気をつければ使用できます。

 

蜘蛛の巣に蝙蝠。
西洋では嫌われる蝙蝠ですが、
中国語では、「蝙蝠」の「蝠」と「福」の発音が同じで
縁起の良い生き物です。

 

福を蜘蛛の巣でつかまえる
吉祥紋ですね。

 

蓋は盃になりますね。
ここにお酒を注いで月を浮かべましょうか。
月に遊ぶ蝙蝠。乙ですな~♪

 

品よく盛り上がった高揚げに繊細な表現。
構図も絵画的です。

 

もう一点はオモダカに甲虫。

甲虫は黄金虫と思いこんでいたのですが、
水辺なのでガムシとかゲンゴロウかもしれませんね。

三匹は別の種類にも見えます。

この曲面にこんな美しい線を引くのは至難の業ですね~(;^_^A

 

箸が当たる身頃の傷みが特に激しく、
蒔絵部分にも掛かってきて大ピンチです!

 

こちらも応急処置でと承ったのですが、
あまりにすばらしい作品で後世に残さなければという
気持ちが湧いてきたので、
予定していた「すり漆」から大きく逸脱して施術しました。

 

露出していた木肌を完全に覆ったので、当面は安心です。
磨いたら蒔絵の輝きも戻りました。
本物は手入れをすると美しさが戻るんですよ。

 

黄金虫さんからは、他にも素敵な作品をお預かりしました。
どれも高い技術と美術的な価値あるものです。
よほど器好きな方なのでしょうね。

 

こちらはカタクリの花が描かれた焼き物。


ガツンとやっちゃったんですね~。

 

純金が映えます。
そして、金の輝きに負けない
素晴らしい絵!

 

好みの作品は直すのが楽しいです。
気持ちの良いお仕事をさせていただきました。